皆さんこんにちは、
以前、日本矯正歯科学会の記事で書きました、日本矯正歯科学会専門医ですが、ついに合格の報告と資格証が届きました!
ここまでは本当に長く大変な道のりでしたので、今日は書きたいだけ書かせてください(笑)
まずは試験を受けるための資格を得るためには認定医の資格を取らなければいけません。以前記事に書きましたが、大学病院には長く残らなかったので、バイパス制度という試験を受けました。また、認定医になるためには矯正歯科に関する論文が必要なのでまずは論文を書くことから始まりました。
そして2年前、無事にバイパス制度の試験で認定医の資格を得たので、ここでやっと認定医の先生と同じスタートラインに立つことができました。
専門医の試験がさらに大変です!
どのぐらい大変かというと、まず症例を10ケース提出しなければなりません。
10ケースはそれぞれカテゴリーが決められていて、1.下顎に?7ミリ以上のデコボコがあるケース、2.出っ歯で下あごが華奢で小さい(下顎のこの角度が何度以上とか決められています。)ケース、3.出っ歯でかみ合わせが深いか開咬のケース、4.矯正歯科治療で比較的治療が難しいとされているアングルII級2類という、上下前歯のかみ合わせが深いケース、5.歯を抜かずに治療した受け口のケース、6.歯を抜いて治療した受け口のケース、7.開咬のケース、8.子供の1期治療から始め、2期治療までおこなったケース、9.歯周病治療や補綴治療を併用したケース、そして10.骨格に問題があり外科手術を併用したケースです。
特に大変なのが「8.子供の1期治療から始め、2期治療までおこなったケース」です。
例えば子供の1期治療を9歳で開始したとして、終了後永久歯萌出完了まで3年ぐらいは経過を観察します。そして永久歯萌出が完了したら第2期治療を約2年行います。第2期治療終了してから保定観察期間に入り、2年以上たった状態で安定しているかの検査資料を採って始めてケースとして提出することができます。
そのためこのカテゴリーの資料を作るのに、8年程かかるのです!
また、通常第1期治療は数カ月で終了するので、よほどのことがないと第1期治療終了後に検査資料は採りません。
しかし、その時期の資料がないとカテゴリーを満たしているとみなされません(泣)
日本矯正歯科学会専門医取得を目指せれている先生の多くは、この症例がなくて困っています。
また、症例がすべて揃ったからと言ってそれで合格するわけではありません。
厳しい試験が待っております。
まず6月に1次試験として、10症例の術前術後および装置を外してから2年後の写真やレントゲンの重ね合わせ、それを元にした分析結果や自分なりの考察などをファイリングして提出します。
それに通過すると今度は2次試験が7月に2日間に渡り行われます。
1次試験よりさらに細かくまとめた資料に加え、術前術後および装置を外してから2年後の模型を展示し、治療の仕上がりや安定性、分析結果や考察が的確か、正確な資料採得を行っているかなどをかなり詳しく、細かくチェックされます。
どのくらい細かいかと言うと、例えば模型の審査では直径0.5mmの針金を上と下の歯型を咬ませた状態の歯の隙間に通します。
この針金が通ってしまうと上と下の歯が緊密に咬んでいないことになるので、「アウト!」です。それをすべての術後の模型でチェックされます。
また、2日目の最後には口頭試問があります。
なぜこのようなメカニクスを使ったか、この結果を踏まえての反省点、なぜこのような考察にいたったかなど、いろいろと試問されます。
さすがにこの日はへとへとになって帰ってきました(汗)
そしてこれに通過すると前回書いたような3次試験が、日本矯正歯科学会大会の会場内であります。
10症例分のファイルと任意の5症例分の模型を会場に展示して一般公開します。
3次試験では口頭試問はなく、展示してしまえば後は特にやることは無いのですが、なにせこの2日間は気が気ではありません。
そんな受験するまでに至るだけでも大変な試験ですので、今回も受験された先生は全国でわずか11名、そして3次試験まで通過し日本矯正歯科学会専門医を取得したのはわずか6名と聞いております!
全国でわずか6名ですよ!
この専門医制度は2006年に設立され、2015年現在専門医を取得している先生は全国で309名いらっしゃいます。
一昨年私が取得した日本矯正歯科学会認定医は全国に約3045名おりますので、そのうち10人に1人の割合しかいないかなり狭き門なのです。
また、専門医は取得したら終わりというわけではありません。
5年間に3症例の症例報告をしなければなりません。そしてこれも試験形式になっているので、きれいに仕上がっていないと専門医をはく奪されます。私の登録証の番号が318番で、現在専門医が309名ということは8名の先生が専門医の資格更新を断念したのだと思います。
常にハイクオリティのレベルを保つために、日本矯正歯科専門医を取得しているうちは一生この更新試験を受け続けなければならないのです(汗)
そんな大変な思いをして、またこれからも大変であることが分かっていながらなぜ取得したかと言いますと、一番の理由は専門医が常在する診療室は矯正歯科医の臨床機関に登録できるからです。
臨床機関になれば、そこに5年間勤務した先生は日本矯正歯科学会の認定医取得の試験を受ける資格を得ることができます。
おだいら矯正歯科は何年も前から歯科医師を募集していますが、一向に応募がありませんので、臨床機関を取得することが早道と考え、この試験を受験するに至りました。
これで将来矯正医を目指す優秀な人材が集まることを期待しています!
それにしても合格までの道のりがしんどかった分、喜びもひとしおです!!!
でももう同じ試験を一から受けるのはイヤです!
それが言いたくてたくさん今回の記事は書いてしまいました(笑)
ちなみに全国の日本矯正歯科学会専門医はこちらで検索することができます。