皆さんこんにちは、
去る、7月18日の土曜日、神奈川歯科大学同窓会栃木県支部学術セミナーが、宇都宮駅東口のホテルサンシャインにておこなわれました。
ここのところ、いろいろと忙しく、ブログをさぼってしまい、1週間前のネタなのでどうしようかと思いましたが、とても面白い講演でしたのでアップしました。
演者として神奈川歯科大学咬み合わせリエゾン診療科教授であります、玉置勝司先生が横須賀からはるばるいらっしゃり、「咬み合わせリエゾン診療科における患者の特徴とその対応?どうして咬合治療は難しいのか?」という演題で講演をしていただきました。
咬み合わせリエゾン診療科とは、神奈川歯科大学だけにある特殊な診療科で、咬み合わせのスペシャリストを保存科、補綴科、矯正科など各診療科から集め、そこに精神科のドクターを含めて連携をとり、一般の開業医ではどうしても治らなかった複雑な咬み合わせの問題を解決していく、かみ合わせ治療の最後の砦のような機関で、語源はフランス語のリエゾン(連携)から来ているそうです。
玉置先生はゴルフ部のOBで、私が学生時代からずっとゴルフ部の部長をされている先生なので、難しそうな題目の講演を聞きに行くというよりは、玉置先生と久しぶりに昔話でもしようぐらいの気持ちで行ったのですが、思っていた内容とはまったく違い、とてもおもしろく、また勉強になる講演でした。
玉置先生いわく、咬み合わせリエゾン科を立ち上げた当初は、どのような咬み合わせにも対応できると自信を持って立ち上げたが、いざ患者さんを診ていくと中には一向に改善されない患者さんもいるとのことで、そのような患者さんの多くは精神的な問題をかかえており、精神科の先生と一緒に診ていく必要があるとのことです。
歯科の先生は、虫歯を治したり、咬み合わせを治したりと外面ばかりを治すことにこだわっていますが、もっと内面的な事にも目を向けても良いのではとのことでした。
しっかり咬み合わせることや、審美的に美しく見せることにあまりにこだわりすぎているのではないか…
これは私にも当てはまっていることだと思います。
もちろんそれはとても大事なことですし、そのような治療ができる技術をまず持っていることが前提での話しになりますが、患者さんを治す際に考慮しなくてはならないのはそれだけではありません。
特に最近は、認定医取得などのことがあり、正中を合わせるためや、ちょっとした高さを合わせるために数ヶ月治療を延長したということが何回かありました。
患者さんがそれを望んでいれば良いのですが、中にはそこまではいいから早く外したいという方もいらっしゃったかもしれません。
私は治療計画を立てる際にその患者さんの100点の咬み合わせを予測し、そのゴールに向けて治療を進めていきます。
患者さんにもそのゴールについて説明し、一緒にがんばっていくわけですが、患者さんの中には「合格点さえ取れればそれでいい」という方がいたかもしれません。
そんな時、以前の私でしたら、「同じ合格点でも70点と100点ではどこがどう違うのか」や、「あと30点プラスするためにどのような治療をして、それがどのくらい期間がかかるのか」などをよく説明した上で、患者さんの意見も聞いていたように思います。
今回の玉置先生のお話を拝聴したおかげで、今の自分を深く反省し、初心に戻ることが出来ました。
すばらしい話をどうもありがとうございました。